坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

法の水茎

「正見」のお話①~水面に映る景色、正反対の自分~「法の水茎」56

本堂前のボタン。 ボタン お堂を荘厳してくれています。「ようこそお参りくださいました」と頭を垂れているかのようです。 今回の文章は、八正道の「正見(しょうけん)」をテーマに、正しく真実を見ることについて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」56(201…

「不邪見」のお話①~心を浄めて、笑って向かう~「法の水茎」55

ボタンはやはり優雅です。 牡丹 白色のボタンは清楚な装いです。吸い込まれそうな気持ちになります。 今回の文章は、十善戒の「不邪見(ふじゃけん)」をテーマに、間違った考え方について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」55(2017年1月記) 昨年は、東京…

「不瞋恚」のお話①~怒りを見せずに、恨みを持たない~「法の水茎」54

素朴で丈夫な花です。 シャガ シャガの学名は、Iris japonica(アイリス・ジャポニカ)。でもなぜか、中国原産の帰化植物だそうです。お寺のような木陰の多い庭が、お好みのようですね。 今回の文章は、十善戒の「不瞋恚(ふしんに)」をテーマに、怒りの火…

「不慳貪」のお話①~思いやりのない冷淡な心、乱暴な振る舞い~「法の水茎」53

集団で小花を咲かせています。 コデマリ その名の通り可愛らしい手まりのようです。八重咲きのヤエコデマリも優雅です。今回の文章は、十善戒の「不慳貪(ふけんどん)」をテーマに、我欲を離れて思いやりの心を持つことについて書いたものです。 ※ ※ 「法の…

「不両舌」のお話①~二枚舌、裏切りの心~「法の水茎」52

この陽気で、花々がいっせいに咲きそろいました。 ボタン 光背のように咲く紫のボタンに、仏さまもうれしそうに微笑んでいます。 今回の文章は、十善戒の「不両舌(ふりょうぜつ)」をテーマに、二枚舌の言動について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」52(2…

「不悪口」のお話①~心の重荷を消し去る、落謝~「法の水茎」51

ハナニラの花もキレイです。 ハナニラ(花韮) 原産地はアルゼンチン。明治時代に観賞用として導入されたそうです。花の色は青の他にも白や薄紫、ピンクなど、いろいろ楽しめるのが良いですね。 今回の文章は、十善戒の「不悪口(ふあっく)」をテーマに、言…

「不綺語」のお話①~上辺だけの言葉~「法の水茎」50

白山吹の花。 白山吹 山吹は花びらが5枚、白山吹は花びらが4枚。別の種類です。今回の文章は、十善戒の「不綺語(ふきご)」をテーマに、上手く飾って表現した言葉について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」50(2016年8月記) 暈(かさ)もなく 梅雨明けの…

「不妄語」のお話①~虚言の世界から抜け出す~「法の水茎」49

人影のないお寺に、珍しい訪問客です。 黒猫 何度か見かけたことのある黒猫。こちらを気にしながら石段を登っていきました。 お参り お参りでしょうか。初夏の庭を散策しています。今回の文章は、十善戒の「不妄語(ふもうご)」をテーマに、真実でないこと…

「不邪淫」のお話①~心の変節、愛の行為~「法の水茎」48

木々も色づいています。 モミジ このモミジの葉は、茶色に色づいてから緑に変わってきました。 今回の文章は、十善戒の「不邪淫(ふじゃいん)」をテーマに、道に外れた愛をめぐって書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」48(2016年6月記) 雨に打たれて、紫陽…

「不偸盗」のお話①~白く砕ける波、心の乱れ~「法の水茎」47

ゴールデンウィーク中に多くの田んぼに稲が植えられました。農家の皆さま、お疲れ様でした。まずはゆっくりと休まれてください。 木枠 何気ない田舎の風景も、木枠を通せば絵画のように見えるでしょうか。今回の文章は、十善戒の「不偸盗(ふちゅうとう)」…

「不殺生」のお話①~そっとしておく愛情、朽ちることのない余薫~「法の水茎」46

睡蓮のもとにも山桜の花びらが舞い降ります。 睡蓮の上に 睡蓮が花びらを離すまいとしているようです。今回の文章は、十善戒(じゅうぜんかい)の「不殺生(ふせっしょう)」をテーマに、ありのままを見つめることについて書いたものです。ここに引用した「…

「怨憎会苦(おんぞうえく)」のお話①~心を捨てた修行~「法の水茎」45

鑑賞期間が長いお花です。 クリスマスローズ クリスマスではなく、この時期に楽しめるのが面白いですね。これから夏にかけて、休眠状態に入るそうです。 今回の文章は、四苦八苦の「怨憎会苦(おんぞうえく)」をテーマに、この世を嫌うことなく、人々との交…

「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」のお話①~仏様でさえも避けられなかった苦~「法の水茎」44

今日は八十八夜です。「野にも山にも若葉が茂」っています。 裏参道のお茶の木 子供の頃は茶摘みをして、自家製のお茶を作っていました。蒸し暑くなった部屋から、外へと逃げ出した記憶があります。 今回の文章は、四苦八苦の「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」…

「求不得苦」のお話①~欲望の苦しみ、豊かな道へ~「法の水茎」43

今日は朝からお墓参りの方を見かけます。私もご先祖様のお墓に詣でて手を合わせました。 ボタン これから牡丹も咲き出します。大きな花びらを見つめていると、吸い込まれそうな気持ちになります。今回の文章は、四苦八苦の「求不得苦(ぐふとっく)」をテー…

「愛別離苦」のお話①~辛い別れの向こう側、苦しみの無い別れ~「法の水茎」42

平成の雨が降り注いでいます。 シャクナゲ 大輪のシャクナゲも、雨風を受けるように、花弁を小刻みに揺らしています。今回の文章は、四苦八苦の「愛別離苦」をテーマに、愛する者との再会と別れについて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」42(2015年12月記)…

「死」のお話②~命を色濃く染める、苦しみを乗り越えて~「法の水茎」41

八重桜はやはり見事です。 ヤエザクラ 種類によって色合いも異なります。八重桜も牡丹桜も八重に咲く桜。里桜ともいいます。綿菓子のような花びらを手の平に乗せたら、少しヒンヤリ。。。数枚の花びらが舞い散りました。 今回の文章は、四苦八苦の「死苦」を…

「死」のお話①~光を探し当てる~「法の水茎」40

お花もキレイですが、あざやかな新緑にも目が留まります。 新緑のもみじ 濃淡の緑が折り重なるように見える山並みは、この時期ならではの若々しい光景です。 今回の文章は、四苦八苦の「死苦」をテーマに、この世の輝きに目を向けることについて書いたもので…

「病気」のお話②~「恋の病」に処方箋、時には「孤りの悲しみ」も~「法の水茎」39

あっと言う間に田んぼにも水が入ってきました。ここ数日の雨は、大きな恵みの雨となったでしょう。 水田 お寺からの眺めも、いよいよ田植え直前となりました。今日は高原山や那須岳もクッキリ……山頂の雪もずいぶん少なくなってきました。 今回の文章は、四苦…

「病気」のお話①~病は気から、慈しみの病~「法の水茎」38

瓢箪池のほとりに山吹が咲いています。 山吹 控え目ですね。この時期の蛙の鳴き声との共演も風流です。庭先には別種の白山吹も咲いてきました。今回の文章は、四苦八苦の「病苦」をテーマに、「病は気から」の意味について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」…

「老い」のお話②~夜空の無数の星々に、ご先祖様を重ねつつ~「法の水茎」37

ツバキもキレイに咲いています。 ツバキ 色とりどりの花が混じった結構な大木です。ツバキは成長が遅いと聞きますが、どれくらいの樹齢なのでしょう。一株から生い茂った姿は見応えがありますね。今回の文章は、四苦八苦の「老苦」をテーマに、父母の恩につ…

「老い」のお話①~煩悩あれば菩提あり、囲碁の黒石と白石~「法の水茎」36

昨日は夕方から豪雨になりました。ほんの1時間ほどでしたが恵みの雨となりました。 タンポポ タンポポも元気に背伸びをしています。毎日見ていると、綿毛になってからの方が成長が早いように見えるのですが。。。気のせいでしょうか。芝桜も色とりどりです。…

「生」のお話②~命の鼓動、見えない内側からの力~「法の水茎」35

毎朝、鶯の声で目覚めます。心地良い目覚まし時計です。この頃は、カエルも鳴き始めました。 いよいよ田植えも間近になってきたようです。 シャクナゲ 大ぶりの花は目立ちますね。石楠花(シャクナゲ)の葉っぱには毒があるので要注意です。今回の文章は、四…

「生」のお話①~新たな命の誕生、苦しみをくぐり抜けて~「法の水茎」34

可愛らしい花も元気いっぱいです。 ニリンソウ お地蔵様の足元に、小さなニリンソウが咲き誇っていました。今回の文章は、四苦八苦の「生苦」をテーマに、なぜ始めに「生」(生まれること)があるのかについて書いてみたものです。 ※ ※ 「法の水茎」34(2015…

「香り」のお話②~「六根」を清めて、悩みや苦しみを洗い流して~「法の水茎」33

桜が散ったからでしょうか。。。また黄色い花が目立ってきました。 レンギョウ 漢方では鎮痛薬に用いられるようです。レンギョウ(連翹)と聞くと、つい練行(仏道修行)を思い出してしまいうのは仕事柄でしょうか。今回の文章は、六根のまとめとして、「鼻…

「身体」のお話②~幸せを追い求めて、捨て身の修行~「法の水茎」32

枝垂れ桜が満開を迎えています。 枝垂れ桜 風に吹かれた花びらが、修行大師の頭上に降り注ぎます。境内の中でも好きな木の一つです。ぜひご覧になっていただければと思います。今回の文章は、六根の「身」をテーマに、節分や、お釈迦様の入滅について書いて…

「味わい」のお話②~醍醐味、揺らぐことのない成熟した心根~「法の水茎」31

ツツジも咲き始めています。 ツツジ 春風に揺れながら、つぼみが日に日にふくらんでいます。今回の文章は、六根の「舌」をテーマに、民話「笠地蔵」に登場する仲睦まじいご夫婦の味わいについて書いてみたものです。 ※ ※ 「法の水茎」31(2015年1月記) 新し…

「心」のお話②~自分の影と仏様の優しい影~「法の水茎」30

地元の桜並木です。 早乙女の桜並木 1925年(大正14年)に、当時の青年団が100本のソメイヨシノを植栽したことに始まるそうです。これまで多くの方に親しまれてきましたが、近年では老木が目立ち、いよいよ伐採される運びとなりました。この風景が見られるの…

「眼」のお話②~紅葉の風情、儚さを自覚すれば~「法の水茎」29

スイセンがキレイに咲いています。お地蔵様の口許も、何となくほころんでいるようです。 スイセン 黄色いスイセンの花言葉は「私のもとへ帰って」だそうです。お寺に咲く草花の花言葉を調べるのも楽しそうですね。今回の文章は、六根の「眼」をテーマに、紅…

「聞く」お話②~耳を傾けて、清らかに色づいて~「法の水茎」28

今が満開です。 満開 これまで、春が年々短くなっていると感じていましたが。。。今年は桜も満開の姿を長く見せてくれています。今回の文章は、六根の「耳」をテーマに、菊と聞くとの関わりについて書いてみたものです。 ※ ※ 「法の水茎」28(2014年10月記)…

「心」のお話①~秋のお彼岸、天上界に咲く蓮華の花~「法の水茎」27

今日は朝から竹を切って頂いてます。 竹林 お寺の墓地前にある竹林。だいぶ密集してきたので間引いてもらうことにしました。最近は竹の用途がなく、竹切り職人の方も減ってしまいましたが、なんとかお願いできました。これで光が射し込み、お墓からの眺めも…