坊さんブログ、水茎の跡。

小さな寺院の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。普濟寺(普済寺/栃木県さくら市)住職。

法の水茎

「身体」のお話①~「一夏」の記憶、蓮の上の露の願い~「法の水茎」26

春は足早に過ぎ去っていきます。この辺の桜もそろそろ見頃を過ぎるでしょう。 花の参道 草花もだいぶ咲いてきました。これからは草木の芽吹きも感じられます。晩春と初夏の間へと季節は差しかかってきました。今回の文章は、六根の「身」をテーマに、お盆の…

「会話」のお話①~言葉の力、笑顔で悲しみを隠して~「法の水茎」25

花冷えをこえて底冷えの一日です。 雪の大師像 朝から季節はずれの雪が舞っています。修行大師も驚かれているのではないでしょうか。今回の文章は、六根の「舌」(会話)をテーマに、言葉の使い方について書いてみたものです。 ※ ※ 「法の水茎」25(2014年7…

「香り」のお話①~湿り気のある空気の中で、お香の煙~「法の水茎」24

昨日は雨が降りました。この時期の雨は、桜が散ってしまうのではないかと気にかかります。 満開 今年は水不足のようです。用水路の水位が下がっていたり。。。これから田に水を引き込む農家さんにとっては、まとまった恵みの雨が待たれるでしょう。今回の文…

「耳」のお話①~鳥の声に耳を傾けて~「法の水茎」23

今日はお釈迦様の誕生日です。日本各地で「おめでとう」の心が広まっています。ただ私の地元の「花祭り」は、選挙の関係から、1週間遅れの14日(日)になりました。これから準備に取りかかります。 ユキヤナギ この辺の桜も、いよいよ満開の時を迎えています…

「眼」のお話①~喜怒哀楽、六根清浄、果てしない慈愛に満ちた優しい眼~「法の水茎」22

元気な鶯の声で目覚めるのは心地良いものです。 もうすぐ開花 毎朝散歩していると、日に日に春の息吹が感じられます。鳥の囀りや草木のほころび…自然を間近に感じられるのは、田舎暮らしの良いところでしょうか。今回は、六根の「眼」をテーマに、仏さまの慈…

「楽」のお話②~いつしか春の野に咲く草花のように~「法の水茎」21

今日も風が強い一日です。本堂の廊下を雑巾がけをしましたが、次々に花粉が飛んできます。 石仏 お寺にはたくさんの石仏が安置されています。昔、さくら市の多くの方が石仏を彫られたのですが、どういうわけかその後の置き場所に困り、けっきょく普濟寺でお…

「楽」のお話①~お釈迦様の生き方、降り注ぐ花びら~「法の水茎」20

春は黄色い花から咲き始めるといます。そろそろ春本番を迎えて、お寺の庭には色とりどりの花が芽吹いてきました。 白い花 これは、コブシでしょうか、白木蓮でしょうか。新春の青空に白が映えます。今回の文章は「楽」をテーマに、お釈迦様の生涯や、空から…

「怒り」のお話②~ありのままの心で、ゆるして~「法の水茎」19

庭先を歩けば、あざやかな赤色が目に飛び込んできます。 冬の名残 お正月からの名残です。万両でしょうか。千両と万両と南天の違い。。。ぱっと見では、なかなか難しいです。今回の文章は「怒り」をテーマに、なぜ不動明王が恐ろしげなお姿をしているのかに…

「怒り」のお話①~「八つ当たり」の壁を取り去って~「法の水茎」18

花冷えが続いています。昔の写真を見ていたら、去年は4月の1日にお花見をしたようです。今年は少し足踏みしていますね。梅の花に雪は風流ですが、桜に雪が降りかかるのは。。。ちょっと桜にかわいそうでしょうか。 春の花に囲まれて 草花を見ていると心が安…

「哀しみ」のお話②~山伏の揺るぎない道心、聖なる心~「法の水茎」17

日本列島は季節はずれの寒気にさらされています。 不動明王 お地蔵さんのように見えて。。。不動明王ですね。寒さにも動じない、凜としたお姿です。今回の文章は「哀しみ」をテーマに、山伏の涙の意味について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」17(2013年11…

「哀しみ」のお話①~心の揺ぎを感じる、『万葉集』の秋の七草~「法の水茎」16

いよいよ4月に入りました。 農家の皆さんも、田おこしから代かきへと忙しい時期を迎えています。 一面のスイセン お寺のお墓の隅には、一面にスイセンが咲いています。 3年前に亡くなった父が、一株一株、植えたものです。 今年もキレイに咲いてくれました。…

「笑顔」のお話②~真顔から微笑みへ、笑う門には福来たる~「法の水茎」15

今日は目まぐるしく天気が変わる一日でした。 母子地蔵 法事中に雨音が強くなったかと思うと、お墓参りでは陽が差し込んだり。。。この季節ならではの天候です。今回の文章は、前回に続いて「笑顔」をテーマに、幸せの意味、身近な人の慈愛について書いたも…

「笑顔」のお話①~アルカイック・スマイル、微笑みに敵なし~「法の水茎」14

春休み中は小さなお子さんもお参りに訪れます。ロウソクにお線香をかざして火をつけたり、鐘を鳴らしたり。。。全てが興味津々。お寺にお子さんの元気な笑い声が響き渡るのは嬉しいものです。 薬師堂の前の花 今回の文章は、これまでと少し視点を変えて、「…

「五大」のお話~悟りの世界、永遠に変らないもの~「法の水茎」13

春の天気は変わりやすいですね。 昼間は暖かかったかと思うと、夕方からは冷え込んで。。。まさに「三寒四温」の陽気です。 椿 まだまだ冬の名残も残っています。これからいよいよ、桜の季節へと向かいます。今日の文章は、これまで書いてきた「地・水・火・…

「空」のお話②~枯渇した心に潤いを、慈しみの雨・身を知る雨~「法の水茎」12

東京は桜が満開のようですが・・・栃木の満開は1週間後でしょうか。 花を浮かべて 水屋の水面に春の花が浮かんでいたら。。。それは4歳の息子のイタズラです。お花がかわいそうだと言っているのですが、どうにもお気に入りのようです。さて今日の文章は、「…

「空」のお話①~西行と明恵、人の心は空のように~「法の水茎」11

今日も暖かな一日でした。 水屋前の梅 良い香りです。今日の文章は、「空」をテーマに、西行法師と明恵上人との対面で語られた歌論義について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」11(2013年5月記) 最近、空を見上げたのはいつですか?季節は今、田植えを終え…

「地」のお話②~花祭り、桜、自然の息吹を感じて~「法の水茎」10

日に日に春の草花が咲き出しています。 色とりどり 今日の文章は、前回に続いて「地」をテーマに、お釈迦様の誕生を祝う花祭りや、自然の息吹に触れることの大切さについて書いたものです。6年前に書いたものですが、4月号ということで、これからの季節に合…

「地」のお話①~東日本大震災への思い、鴨長明『方丈記』、芥川龍之介『本所両国』~「法の水茎」9

お彼岸中は、明るい月が 輝いていました。 お彼岸中の満月 今日の文章は、「地」をテーマに、東日本大震災について書いたものです。震災の日は、お寺の行事(普濟寺春季大護摩祭)の前日でした。激しい長時間の揺れに、境内の灯籠はすべて崩れ落ちました。次…

「火」のお話②~月の兎伝説とは~「法の水茎」8

お寺からは、広々とした田畑が一望です。 高台からの眺め 今日は春のお彼岸最終日。これから農作業が忙しくなります。今日の文章は、「火」をテーマに、お釈迦様の前世をめぐって書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」8(2013年2月記) お釈迦様が横たわる姿に…

「火」のお話①~御護摩と初日の出、炎と光~「法の水茎」7

お寺の池には水芭蕉も咲いています。 水芭蕉 水芭蕉の真ん中の白いところは仏炎苞(ぶつえんほう)と言います。これは、光背(こうはい)と呼ばれる、仏像の後ろの光をかたどった装飾に似ているから名づけられたとか。春の陽光に照らされるお姿は、まさに後…

「風」のお話③~貧女の一灯、信仰心の強さ~「法の水茎」6

東京で桜が開花しましたが……栃木は風の強い一日でした。 修行大師像 今日はお彼岸の中日です。旧暦では2月15日。お釈迦様の亡くなられた日です。日本に古くから伝わる「月の兎」伝説のように、今宵のおぼろ月夜は、私たちに何を教えてくれているのでしょう。…

「風」のお話②~お経は風の音~「法の水茎」5

今日は暖かな一日でした。全国に先がけて長崎市内の桜の開花が発表されました。 桜一輪 やはり栃木は寒いのでしょうか。 お寺の庭には、やっと河津桜が一輪ほころびました。今回の文章は、前回に続いて「風」をテーマに、仏さまの風と、お経の声とのかかわり…

「風」のお話①~高尾山の天狗、飯縄大権現の眷属として~「法の水茎」4

お墓の道沿いにミツマタが咲いていました。 ミツマタ 今回の文章は、「風」をテーマに高尾山の天狗ついて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」4(2012年10月記) 今年も秋がめぐってきました。高尾山の樹齢800年の大杉原にも、色づいた紅葉を誘いながら、秋の…

「水」のお話②~西行の滝行、言葉の罪~「法の水茎」3

境内に春が満ちあふれています。 境内のしだれ梅 かぐわしい香りが漂い、鳥の囀りが聞こえています。今回の文章は、水にかかわる滝行について書いたものです。よろしければお読みいただけますとありがたいです。 ※ ※ 「法の水茎」3(2012年9月記) 人間、誰…

「水」のお話①~文覚の滝行、不動明王の御加護~「法の水茎」2

お寺のしだれ梅が見ごろを迎えています。 しだれ梅 かぐわしい香りです。 ※ ※ 「法の水茎」2(2012年8月記) 高尾なる 緑もふかき のり法の山 飯縄の御威 永遠に変わらじ これは高尾山薬王院の御詠歌です。「高尾山は深山幽谷の仏法のお山であり、ご本尊飯縄…

プロローグ~自己紹介を兼ねて、かたじけない涙~「法の水茎」1

高尾山薬王院から月一で連載している仏教エッセーをアップしていきたいと思います。 なかよし地蔵 東京の八王子市に高尾山という標高599メートルのお山があります。都心からも近く学校の遠足やハイキングで登った方も多いのではないでしょうか。 山の中腹に…