坊さんブログ、水茎の跡。

小さな寺院の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。普濟寺(普済寺/栃木県さくら市)住職。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「無常」のお話⑧~前世・現世・来世、幸せを願って~「法の水茎」79

ピーヒョロロロロ… トンビ 羽ばたく3羽の鳴き声が聞こえてきます。輪を描きながら舞い上がっていきました。私もトンビのように、少しでも上昇気流に乗ることができればと思います。 今回の文章は、「無常」をテーマとして、前世からの因縁について書いたもの…

「無常」のお話⑦~「哀れみ」から「思いやり」へ、「貧」から「清貧」へ~「法の水茎」78

昼頃まで風の強い一日でした。 黒猫 いつもの黒猫もお散歩中のようです。風の吹くまま気の向くままでしょうか。 今回の文章は、「無常」をテーマとして、「思いやり」の新芽を準備することについて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」78(2018年12月記) 雪降…

「無常」のお話⑥~「心の葉っぱ」を輝かせて、「飛花落葉」を感じて~「法の水茎」77

アジサイには雨が似合います。 紫陽花(アジサイ) アジサイの花言葉の一つに「無常(むじょう)」があります。色が「七変化」するところから名づけられたのでしょう。 今回の文章は、「無常」をテーマとして、「飛花落葉」を感じることの大切さについて書いた…

成田高校の「宗教講話会」でお話させていただきました。

千葉県成田市の成田高校では、毎年「宗教講話会」という行事が行われます。目的は、生徒さんたちに仏教に慣れ親しんでもらおうというものです。 ちなみに、過去5年間の講師の先生と演題です。 平成26年 山﨑照義僧正「いのち尊し」平成27年 中山照玲先生「成…

「無常」のお話⑤~不完全な美しさ、『徒然草』にみる「心眼」~「法の水茎」76

池の上にヤマボウシの花が咲いています。 ヤマボウシ(山法師) ヤマボウシ(山法師)は、白い部分を僧兵の頭巾に見立てて名づけられました。今回の文章は、「無常」をテーマとして、『徒然草』に見る「不完全な美しさ」について書いたものです。 ※ ※ 「法の…

「無常」のお話④~無常は仏教の基礎、『方丈記』『無常安心章』「白骨の御文章(御文)」~「法の水茎」75

本堂からの眺めです。 参道 雨の重みで、モミジの葉も垂れ下がっています。いつもより緑色を感じるお庭です。 今回の文章は、「無常」をテーマとして、『方丈記』と『無常安心章』「白骨の御文章(御文)」との類似などについて書いたものです。 ※ ※ 「法の…

「無常」のお話③~『方丈記』序章、滅びを重視した無常観~「法の水茎」74

梅雨入りして、お寺もしっとりと潤っています。 雨の参道 雨上がりには、ホトトギスの声もお山全体に響き渡っています。先日までは鶯だったのに、季節の移ろい早いですね。 今回の文章は、「無常」をテーマとして、『方丈記』序章に見られる「滅びを重視した…

「無常」のお話②~「いろは歌」、迷いを自覚する~「法の水茎」73

庭を歩いていても、やはり睡蓮には目がとまります。 睡蓮 まるで絵に描いたような姿です。1人で見るのが、もったいない気分になります。今回の文章は、「無常」をテーマとして、「いろは歌」に込められた「無常の心」について書いたものです。 ※ ※ 「法の水…

「無常」のお話①~雪山童子の願い、この文句を見て~「法の水茎」72

帰宅すると、玄関先のバラが迎えてくれました。 薔薇 野バラでしょうか。飾り気のない、素朴な姿にも心癒やされます。今回の文章は、「無常」をテーマとして、『平家物語』などに語られる「諸行無常」について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」72(2018年6…

「天道」のお話~清らかな天界も、時は移ろう~「法の水茎」71

赤のカルミアです。 カルミア お寺には白もあります。紅白のカルミアは見ごたえがあります。カルミアという名前は、スウェーデンの植物学者、ペール・カルムにちなんで命名されたそうです。今回の文章は、六道の「天道」をテーマとして、人間界よりも苦しみ…

「人道」のお話~得がたい我が身、慈しみの心も忘れないで~「法の水茎」70

まだら模様の紅ウツギです。 ウツギ(空木) ウツギにはいろいろな種類があります。外からは見えませんが、幹が中空だから空木(ウツギ)と名づけられました。卯の花・卯木(ウツギ)とも呼ばれる、初夏の風物詩です。 今回の文章は、六道の「人道」をテーマ…

「修羅道」のお話~争いを拾う、見失う慈悲の心~「法の水茎」69

日に日に花の数が増えて来ました。 睡蓮 お参りくださる方も、池の睡蓮に目が留まるようです。みなさん「キレイですね~」と言ってくれます。 今回の文章は、六道の「修羅道」をテーマとして、常に激しい争いが行われる場所について書いたものです。 ※ ※ 「…

「畜生道」のお話~馬の涙、前世の父母~「法の水茎」68

キショウブ(黄菖蒲)も目立ちます。 キショウブ(黄菖蒲) 繁殖力が強いため、最近では「要注意外来生物」にも登録されているとか…拡大しすぎるのも問題のようですね。 今回の文章は、六道の「畜生道」をテーマとして、死後に畜生となって生まれ苦しむ世界…

「餓鬼道」のお話~欲深い行い、際限なく欲しがる~「法の水茎」67

雨が上がって過ごしやすい1日です。 お地蔵様 お地蔵様も気持ちよさそうですね。 今回の文章は、六道の「餓鬼道」をテーマとして、飢えた鬼の世界について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」67(2018年1月記) 霞立ち 木の芽もはるの 雪降れば 花なき里も 花…

「地獄道」のお話~灼熱の奈落に、清らかな風~「法の水茎」66

池の睡蓮が咲きました。 睡蓮 蓮は晩夏の季語なので、7月くらいからかと思っていましたが…まだ5月ですね。今年はとくに早いのでしょうか。 今回の文章は、六道の「地獄道」をテーマとして、奈落の底の有様について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」66(2017…

「六道輪廻」のお話~お地蔵様を信じて、真っ先に駆け付ける~「法の水茎」65

アジサイも咲いてきました。 紫陽花(アジサイ) 雨に濡れれば、緑もいっそう鮮やかになるでしょう。梅雨時の黄昏には、蛍が飛び交うかもしれません。今回の文章は、六道をテーマとして、お地蔵様の救いについて書いてみたものです。 ※ ※ 「法の水茎」65(20…

「八正道」のお話~真実そのもの、対立を離れて~「法の水茎」64

全国的に猛暑の1日でした。来月の衣更えを前にして、冬衣でのお勤めは、なかなかツライものがあります。 黒猫 いつもの黒猫は、涼しい日陰を知っているようです。 今回の文章は、八正道のまとめとして、「「正しさ」とは何か」ということについて考えてみた…

「正定」のお話①~動揺を取る、安らかな境地へ~「法の水茎」63

ミズバショウが咲いていた場所がカキツバタに変わりました。 杜若(カキツバタ) カキツバタの響きを聞くと、ついつい『伊勢物語』9段の「東下り」を思い出してしまいます。「唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」 今回の文章は…

「正念」のお話①~安らかな心で、雑念を払って~「法の水茎」62

バラも咲いてきました。 バラ これから日に日に咲き揃いそうです。庭が明るくなりますね。 今回の文章は、八正道の「正念(しょうねん)」をテーマに、正しく真理を追い求めることについて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」62(2017年8月記) 荻の葉の そよ…

「正精進」のお話①~怠け心を断ち切って、精一杯に生ききる~「法の水茎」61

雨雲が去って日差しが戻ってきました。 参道のお地蔵様 「いまここにしかない わたしのいのち あなたのいのち」お地蔵様の光背に刻まれています。今回の文章は、八正道の「正精進(しょうしょうじん)」をテーマに、正しく励むことについて書いたものです。 …

「正命」のお話①~敬う気持ち、心を磨く~「法の水茎」60

強い雨が打ち付けています。 お地蔵様と菖蒲 アヤメ(菖蒲)には雨が似合います。お地蔵様と居並んでいるようです。お地蔵様の肩に降りかかる雨を、アヤメが受け止めているのでしょうか。 今回の文章は、八正道の「正命(しょうみょう)」をテーマに、正しい…

大般若転読法要

昨日は近くのお寺(慈光寺さん)で行われた大般若転読(だいはんにゃてんどく)という法要に出仕しました。 大般若転読だいはんにゃてんどく仏事の法要名。大般若経600巻を短時間に読み上げる法要。そのために,たとえば30人の職衆(しきしゆう)に20巻ずつ…

「正業」のお話①~初夏の草花、自然の恵みに感謝~「法の水茎」59

ヒメウツギを見つけました。 ヒメウツギ ウツギ(空木)よりも、ほっそりとしているからヒメウツギ(姫空木・姫卯木)と名づけられたそうです。古くから親しまれてきた初夏を飾る花です。今回の文章は、八正道の「正業(しょうごう)」をテーマに、正しい行…

「正語」のお話①~真実の言の葉、清らかな本質~「法の水茎」58

野菜も育っています。 さやえんどう さやえんどうです。花が咲きました。いくつか収穫して食卓にのせて楽しんでいます。 今回の文章は、八正道の「正語(しょうご)」をテーマに、正しい言葉遣いを心がけることについて書いたものです。 ※ ※「法の水茎」58(…

「正思惟」のお話①~自然に身を投じる、幸せの到彼岸~「法の水茎」57

石段を登り切ったところに咲いている小さな花。 可憐な花 何という名前でしょうか。ひっそりとお出迎えしてくれます。 今回の文章は、八正道の「正思惟(しょうしゆい)」をテーマに、相手を心に浮かべ、深く考えることについて書いたものです。 ※ ※ 「法の…

「正見」のお話①~水面に映る景色、正反対の自分~「法の水茎」56

本堂前のボタン。 ボタン お堂を荘厳してくれています。「ようこそお参りくださいました」と頭を垂れているかのようです。 今回の文章は、八正道の「正見(しょうけん)」をテーマに、正しく真実を見ることについて書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」56(201…

「不邪見」のお話①~心を浄めて、笑って向かう~「法の水茎」55

ボタンはやはり優雅です。 牡丹 白色のボタンは清楚な装いです。吸い込まれそうな気持ちになります。 今回の文章は、十善戒の「不邪見(ふじゃけん)」をテーマに、間違った考え方について書いたものです。 ※ ※ 「法の水茎」55(2017年1月記) 昨年は、東京…

金沢文庫へ

金沢文庫での研究会に参加してきました。金沢文庫は横浜市にある日本最古の武家文庫です。 www.planet.pref.kanagawa.jp2016年(平成28年)8月には、金沢文庫が管理している総計2万点余りにおよぶ「称名寺聖教・金沢文庫文書」が国宝に指定されました。この…

「不瞋恚」のお話①~怒りを見せずに、恨みを持たない~「法の水茎」54

素朴で丈夫な花です。 シャガ シャガの学名は、Iris japonica(アイリス・ジャポニカ)。でもなぜか、中国原産の帰化植物だそうです。お寺のような木陰の多い庭が、お好みのようですね。 今回の文章は、十善戒の「不瞋恚(ふしんに)」をテーマに、怒りの火…

「不慳貪」のお話①~思いやりのない冷淡な心、乱暴な振る舞い~「法の水茎」53

集団で小花を咲かせています。 コデマリ その名の通り可愛らしい手まりのようです。八重咲きのヤエコデマリも優雅です。今回の文章は、十善戒の「不慳貪(ふけんどん)」をテーマに、我欲を離れて思いやりの心を持つことについて書いたものです。 ※ ※ 「法の…