金沢文庫での研究会に参加してきました。
金沢文庫は横浜市にある日本最古の武家文庫です。
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2016年(平成28年)8月には、金沢文庫が管理している総計2万点余りにおよぶ「称名寺聖教・金沢文庫文書」が国宝に指定されました。
この国宝史料の中に、「千字文説草」と呼ばれる説草群があります。およそ170点におよぶ鎌倉後期の写本です。
【顕われた神々展】天神の霊異を説く『天満天神事』は、称名寺聖教中にいくつか残っている唱導群のうち、「千字文説草」と呼ばれる唱導資料群に含まれています。表紙右上に千字文の一字「金」を記しています。 #金沢文庫 #顕われた神々 #千字文説草 #唱導 pic.twitter.com/LH3FdVp3kd
— 神奈川県立金沢文庫 (@Kanagawa_bunko) December 12, 2018
表紙の右上に、千字文の一字が記されています。「金」の他にも、「天」「玄」「宇」「洪」「丁」「日」「公」「成」「陰」「六」などの文字があって、内容ごとに分類されています。
この「千字文説草」を読む研究会に、2014年(平成26年)から参加させていただいています。昨年の12月には、中間報告として「《シンポジウム》称名寺の千字文説草を考える」が開催されました。
当日は、千字文説草に見られる、称名寺3世の湛睿(たんえい・1271~1347)の推敲の跡などについて報告させていただきました。
「千字文説草」を含む「称名寺聖教・金沢文庫文書」は、文学研究はもちろんのこと、歴史・美術などあらゆる分野の学問に寄与するものです。今後の研究によって、中世東国における法会の実態の解明にもつながるでしょう。
調査では、こうした貴重な史料を目の当たりにして毎回感動しています。研究者の仲間と出会えたことも私の財産です。
調査の合間に、特別展 「いろいろとりどり ~国宝に見る「色」」を拝観しました。
最終日ということもあって、学生さんから年配の方までにぎわっていました。
会場内は、白・赤・黄・青・黒などの色に満ちあふれていて、仏さまの世界に包まれているような気持ちになりました。
そういえば、仏教の「六色仏旗」もカラフルです。
『小部経典』というお経から色が選ばれたとか。それぞれの色には意味も決まっています。仏教の教えと色は、切り離せないんですね。
次回の特別展「浄土宗七祖聖冏(しょうげい)と関東浄土教」も楽しみです。
金沢文庫の入り口から見えるトンネルを撮ってみました。
称名寺境内へと通じるトンネルの隣にある、もう一つのトンネル……鎌倉時代に作られた「中世の隧道」です。
現在は通行止めとなっていますが、向こう側から、お経を唱える中世のお坊さんが歩いてきそうな、何百年前にタイムスリップした気になる聖域です。
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最後までお読みくださりありがとうございました。