坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

水神様が住まう清水で、井戸埋めの祈願をさせていただきました。

紅葉を前にして、秋菊が咲いています。

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菊(キク)の語源は、「一年の最後に咲く花」という意味の「窮まる(きわまる)」からとも言われます。思えば、今年ももう残り2ヶ月となりました。

大安の今日。
近隣のお宅で、井戸埋めの祈願をさせていただきました。

50年ほど前に掘られた深さ10メートル以上に及ぶ古井戸は、庭の片隅で今も満々と水を湛えていました。現在は使用することもなくなり、お孫さんが安全にお庭で遊べるようにとの思いもあり、埋め戻しを発願されたそうです。

これまで長きにわたって守護くださった水天・水神などの諸神に感謝し、香華を供え、心から「井戸埋秘法」を行わせていただきました。

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帰り際、お花と木製の台を頂戴しました。
お孫さんが通う幼稚園で、ご両親と一緒に釘を打って作られた思い出の台とのこと。これから大切に使わせていただきます。

ところで、この土地には、古くから「おみだらせ」と呼ばれる小川が流れる場所があります。

調べてみると、

①  おみだらせの清水(福島県東白川郡塙町)

② おみだらせ(宮城県石巻市旧河南町、龍ノ口山)

③ おみだらせ(岩手県一関市花泉町)

④ オミタラシの瀬(岐阜県美濃市を流れる長良川)

など一部ですが、他にも「おみだらせ」と呼ばれる場所があることが分かりました。
それらは、全てが「清らかな水が流れる場所」でした。漢字では「御神手洗瀬」と書き、「神様が手を洗う場所」という意味が込められているようです。

ご先祖様の命をつないできた井戸水は、まさに神様が住まう清水だったのですね。おみだらせの水神様、本日はお出ましくださいましてありがとうございました。


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最後までお読みくださりありがとうございました。