坊さんブログ、水茎の跡。

小さな寺院の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。普濟寺(普済寺/栃木県さくら市)住職。

200年前の古文書 ~ 御本尊再建への思い ~


冬至を迎えました。
柚子もたわわに実っています。

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今日の主役ですね。
御利益にあずかって身体を温め、この冬を乗り切りたいと思います。


新年を前にして片付けをしながら、古い文書を取り出してみました。

 

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「普濟寺本尊再建御施主名前帳」
「文政三年(1820)十一月吉日」とありますので、200年以上前に書かれたものです。
「再建」とあるのは、普濟寺が文化7年(1810)2月27日に火災により本堂が焼けてしまったからでしょう。


ご寄付をくださった方々のお名前が列挙されています。
地元、金枝村の方のご先祖様にあたるため、すべてを挙げることはできませんが...

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女性と思われるお名前や、近隣の穂積、小郷野村の名も見えます。お米を持ち寄ってもくださったのですね。

そして、こちらは「普濟寺 本尊仏建立諸色覚帳」です。

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「文政5年(1822)正月」とあります。
本尊を建立するに当たってかかった費用が、事細かに記録されています。

【諸式/諸色】しょ‐しき
1 必要ないろいろの品物。「―万端を調えて待つ」
2 品物の値段。物価。「―が高くなる」
『デジタル大辞泉』「諸色」の項

 

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途中の船賃や茶店に支払った代金なども書かれています。現在の値段だといくらくらいになるのでしょうか。御本尊様は、宇都宮の仏師にお願いしたようです。

来年の令和4年(2022)は、この文政5年(1822)からちょうど200年の節目の年に当たります。ご先祖様の篤い信仰を胸に、これからも御本尊様に手を合わせたいと思います。

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最後までお読みくださりありがとうございました