坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

受け継がれてきた120年前の法衣


風の強い一日。
可愛らしいスイセンも揺れています。


桜のつぼみもずいぶんと膨らんできました。

さて、お寺には数種類の「法衣」がしまわれています。

ほう‐え〔ホフ‐〕【法▽衣】
僧尼の着用する衣服。もとは戒律に定められた五条などの袈裟(けさ)をいったが、日本ではさらにこの下に着用するものをも含めて総称する。法服。衣(ころも)。ほうい。
『デジタル大辞泉』より

 


『日本大百科全書(ニッポニカ)』より


いつも同じような法衣を着ることが多くなってしまうのですが、中にはほとんど身につけることのない「七条袈裟」という法衣も保管されています。

このような赤衣です。

色鮮やかですね。

袈裟にもいろいろな種類があります。




『国史大辞典』より


七条袈裟を拡大するとこのような模様です。
「法輪」と「菊花」でしょうか。


縫い目も丁寧です。

裏の模様は「牡丹」のように見えます。


清楚な装いです。
購入年月日も記されています。


「明治参拾八年乙三月拾五日求之」

明治38年(1905年)ですので、今から120年ほど前に求めたのですね。歴史を感じます。私は身につける機会がないでしょうが、引き続き後世に伝えていければと思います。

衣を入れる袋の中にも興味深いものがあります。

「鍵長法衣店」
昭和30年代のようです。


こちらは「大住法衣店」


今となっては袋も貴重ですね。
これからも大切に残していきたいと思っています。



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最後までお読みくださりありがとうございました。