坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

古いお位牌の年齢


9月に入って、庭の草木も秋色に染まってきました。


実りの秋の到来ですね。

視線を落とせば、木陰にはシュウカイドウの花が咲いていました。


ハート型の葉の片方が大きくなるところから、「片思い」という花言葉もあるそうです。ひっそりと咲いている姿に秘めた想いを感じます。

 

さて先日、お仏壇のお位牌をまとめてほしいとのご依頼をいただきました。

(過去記事です)

www.mizu-kuki.work

 

たくさんいらっしゃるご先祖様のお位牌をお預かりしました。
中には古いものもありました。


120年ほど前に作られた白木の位牌です。手作りなのでしょう。

今も同じですが、お位牌には亡くなられた時の年齢も記載されています。
こちらはお子さんです。


年齢の上にある「行年」(ぎょうねん)は、「享年」(きょうねん)と同じような意味で、「この世に生きていた間の年の数」です。
昔は乳幼児の死亡率が高かったですね。5歳でも若すぎます。

逆に長寿の方もいらっしゃいました。


ここに見える「天寿」は、「天寿を全うする」という言葉があるように、「長生きをして死ぬ」という意味になります。「世寿」と書いたりもします。

明治・大正時代の平均寿命が44歳前後と言われていた中で、82歳はじゅうぶんに長寿と言えたのでしょう。

現代は100歳を超えて元気な方もたくさんいらっしゃいます。授かった命が長くなって、「天寿」「世寿」の年齢もどんどん上がっていくのは、有り難く嬉しいことでもありますね。



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最後までお読みくださりありがとうございました。