坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

旅立ったワンちゃん ~ 人間と同じ命 ~

大輪の花が目立つようになってきました。

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豪華ですね!
お寺も、あでやかに華やいできました。

さて、以前ある方から「長いこと飼っていた犬が死んでしまったので、拝んでいただけませんか?」と言われたことがありました。

その時は、家族の一員を失った悲しみに、涙を流されていました。

そこで、日時を決めて、本堂にお骨をお持ちいただきました。
お経を唱えながら、皆さんで一緒に手を合わせました。

お塔婆も用意しました。
片仮名で「タロウ」です。



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タロウくんは、心優しい性格だったそうです。
飼い主のお子さんが病気の時には、側を離れず、しっぽを振って風を送って看病していたとおっしゃっていました。

あの世には旅立ちましたが、これからもずっと家族と一緒ですね。

思えば、私も子どもの頃は、犬や猫を飼っていました(今は池の鯉だけです)。失った時の悲しみがよく分かります。

私は一人っ子だったので、犬は私の遊び相手でした。ムクという名前の茶色い雑種でした。

高校生くらいだったかと思うのですが、犬との思い出を詩(ポエム)にしたことがあります。もう30年以上前になりますね。

お恥ずかしいものですが、飼っていた頃の記憶がよみがえってきたので、その時に書いた「四人家族になってから」という詩を挙げさせていただきます。

 

四人家族になってから
   

 四人家族になってから
 もうどれくらい経ったろう
 一人っ子っだった
 僕の心に
 捨てられていた
 子犬が加わったのは

  小学校の帰り道
  公民館の電灯が
  暗く光った
  その下で
  震えながらじゃれていた
  子犬

  いつも一緒だった
  駄菓子屋までの小さな冒険
  学校の片隅の隠れ家を通って
  小高い丘の空き地で見つけた
  四葉のクローバー
  しっぽを振って眺めてる
  その先に見えたものは
  夕日を受けとめる
  街

 四人家族になってから
 もう十年が経ったよね
 「冒険しようか」って
 つぶやいた僕
 いつものようにしっぽを振って
 小首をかしげながら動かない
 洞窟のような眼差しは
 あの日のまま

 息をきって歩く
 弟
 何度もたたずみながら
 辿り着いた丘
 眼下に広がる
 夕日の街を見るために
 僕は弟の肩を抱き
 そっと
 腰をおろした


     ※      ※

最後までお読みくださりありがとうございました。