坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

街道沿いの庚申塔


寒い中、猫が丸まっていました。

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お寺には、何匹かの猫が遊びに来ているようです。

昨年の話になりますが、近所の道路の拡張工事が終わりました。
合わせて、工事期間中の一時だけ移転していた石塔の供養を行いました。

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隣町との境界の辺りにあります。
お地蔵様を含め、いくつかの石塔があります。

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右はお地蔵様。

左は、文化10年(1813)11月の二十三夜塔です。本尊とする勢至菩薩の梵字(サク)も刻まれています。

普濟寺参道にある如意輪観音堂の隣にも、二十三夜塔の石碑がありますが、上の方が欠けていました。おそらく、同じように勢至菩薩の梵字があったのでしょう。

 

www.mizu-kuki.work

 

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庚申塔

こちらは両方とも庚申塔です。

【庚申待】こうしん‐まち
庚申(かのえさる)の日、仏家では青面金剛(しょうめんこんごう)または帝釈天(たいしゃくてん)、神道では猿田彦神を祭り、徹夜する行事。この夜眠ると、そのすきに三尸(さんし)が体内から抜け出て、天帝にその人の悪事を告げるといい、また、その虫が人の命を短くするともいわれる。村人や縁者が集まり、江戸時代以来しだいに社交的なものとなった。庚申会(こうしんえ)。《季 新年》

『デジタル大辞泉』「庚申待」の項


庚申講は 二十三夜塔と同じく民間信仰の一つです。
徹夜の行事ですね。胎内から抜け出すと言われた三尸(さんし)とはこのようなものです。

 

 【三尸】さん‐し
道教で、人の体内にすんでいるという3匹の虫。庚申(こうしん)にあたる夜、人の眠っているすきに体内から抜け出て、その人の罪悪を天帝に告げ知らせるという。三尸虫。→庚申待

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『デジタル大辞泉』「三尸」の項

 
不気味な姿をしています。
このような三尸が体内にいると信じられていたのでしょう。

ちなみに、今年2020年の庚申の日です。

1月18日(土)
3月18日(水)
5月17日(日)
7月16日(木)
9月14日(月)
11月13日(金)

庚申塔は、3年18回続けた記念に建立されることが多いそうです。

こうした庚申塔は、道路拡張工事などで撤去された場合も多いようですが、ここは交通量の少ない街道脇のため残されていたのかもしれません。

江戸時代の民間信仰の様子が伝わってくる貴重な石碑です。


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最後までお読みくださりありがとうございました。